今の職場がしんどいと、
視野はびっくりするくらい狭くなる。
夜勤がつらい。
人間関係がしんどい。
委員会も、記録も、急変も、意味のわからない気遣いも多い。
毎日そんなものに囲まれていると、
だんだん思ってしまう。
ここを辞めたら終わりなんじゃないか、と。
でも、たぶんそれは違う。
しんどい場所に長くいると、
今いる職場が世界の全部みたいに見えてくる。
病院を辞めることが、
そのまま看護師を辞めることみたいに感じてしまう。
真面目な人ほど、そうなりやすい。
責任感があるから。
途中で降りることに罪悪感があるから。
「せっかく取った資格なんだから頑張れ」とかいう、
便利な正論まで頭の中に住みつくからだ。
でも、看護師資格って、
本当にそんなものだろうか。
今の職場に耐え続けるためだけの資格。
辞めたいのに辞められなくなる呪い。
しんどい人間関係にも、雑な指導にも、理不尽な勤務にも、
「資格があるんだから頑張れ」と言われ続けるための鎖。
もしそうなら、かなり救いがない。
でも実際は、
たぶん逆だ。
看護師資格は、
今の職場に心中するための免許じゃない。
無理な場所から離れても、
別の場所で生きていける可能性を残してくれるものだ。
病院が無理なら、施設もある。
訪問もある。
外来もある。
健診もある。
単発や派遣だってある。
もちろん、どこへ行っても楽園とは言わない。
人間関係がゼロになるわけでもないし、
仕事のしんどさが全部消えるわけでもない。
そんな都合のいい話は、たぶんない。
でも、少なくともひとつ言えるのは、
今の職場だけが唯一の正解ではないということだ。
これって、思っている以上に大きい。
人は、逃げ道がないと思うと壊れやすい。
逆に、
逃げても終わりじゃないとわかるだけで、
少しだけ呼吸がしやすくなる。
実際に今すぐ辞めなくてもいい。
転職サイトを眺めるだけでもいい。
他にどんな働き方があるのか知るだけでもいい。
それだけで、
「ここで無理なら終わり」じゃなくなる。
逃げ道を確認することって、
よくないことみたいに言われがちだ。
甘えとか。
覚悟が足りないとか。
そういう立派な言葉で、雑に片づけられる。
でも正直、ああいうのは、
言う側が気持ちよくなるための言葉だと思っている。
追い詰められてる側には、
だいたい何の役にも立たない。
必要なのは根性論じゃない。
退路だ。
今の職場が無理でも、
別の働き方がある。
それを知っているだけで、
人は少しまともでいられる。
看護師資格は、
誇りとか使命感とか、そういうきれいな言葉だけで語られがちだけど、
もっと実用的に考えていいと思う。
この資格があるから、
今の職場が無理でも別の場所へ行ける。
この資格があるから、
壊れる前に離れる選択肢を持てる。
それだけで、十分価値がある。
続けるか辞めるかは、
その時に決めればいい。
今の職場でやれるなら、それでもいい。
でも、無理なら離れていい。
看護師資格は、
今の職場に縛る鎖じゃない。
壊れる前に別の場所へ逃げるための、
数少ない武器でもある。
立派なやりがいなんてなくていい。
崇高な志がなくてもいい。
ただ、生き延びるために使っていい。
たぶん、それで十分だ。
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